「でも、私の事嫌いなのまるわかりなのに、怜香に嫌がらせじみたことする度に怒ってるのまるわかりなのに……」



「楓が!! 寒い日に暖かい場所代わってくれたり、ふいに優しくしたりするから……好きになっちゃったの!」



全部、完っ全に無意識だった。



それに、そんなこと言われても、俺の一番大事な怜ちゃんを現在進行形で傷付けていることに変わりはないし、こいつの人間性を認めて、好きになることも出来ない。



だからそれを、最後の情けとして、できるだけ優しい口調を心がけて口に出す。



「悪いけど……俺が早乙女をそういう対象としてみることは出来ない」



「うん。知ってたよ」



そこでこいつはもう、引いたかのように思えたその時。



「じゃあ怜香は?」

たった一言確かにそう言った。