怜ちゃんの目に浮かぶ涙は、針で指を刺したみたいにぷくぷくと膨れ上がっていく。



あぁそうか。



みたいじゃなくて、今怜ちゃんは傷付いてるんだ。



人と付き合う術を知らなくて、自分を大切にする術を知らなくて、



あんな奴の事を信じてて。



「ねぇ怜ちゃん。今日楽しかった?」



「うん。グズッ」



だから、俺は言葉にして、怜ちゃんに1つずつ伝えていく。



「長い時間ほおっておかれたり、大きな声で怒鳴られたりするのは、仲が良いとは言えないよ。大切に想って、大切にされているとは言わない。俺が怜ちゃんにそんな風にしたことがある? 人との関わりかたには、沢山の形があるけど、仲が良いって言うのはね、今日の怜ちゃんたちみたいな、対等な関係の事を言うんだよ」 



怜ちゃんは、少し悩んだ様子で、それでもこくこくと2回頷いてくれた。