「治安悪い暴走族がいたんだ。そして俺と詩織はその暴走族に絡まれてまんまとやられた。月下美人入りたてで弱かった俺は詩織を守れなくて……病院に運ばれた時にはもう、亡くなっていた」

っ……。

じゃ、あ……碧がいま月下美人にいるのは。


「悔しかった……守りたいものなにひとつ守れない弱い自分が嫌で。夏希に助けられて変わりたいって思えた。過去を引きずりながらも特攻隊長になって毎日毎日喧嘩してた」

詩織さんを、亡くしたから……。

大切な人を守れなかった悔しさと苦しみで、いまの碧がいるんだ。

耐えられなくなって、涙が溢れた。


「っ、ごめん、続けて……」


「……もう、大切な人は作らない。恋なんてしないって決めたんだ……決めてた、のに、愛生と出会ってしまった」