久しぶりの夏希の手はあったかくて。

無性に嬉しくなった。


「じゃあみんな、ばいばいっ!」

「ばいばいー!」

工場を出て、夏希に手を引かれるまま歩く。

夏希
「……」


「……ねぇ、夏希」

ぎゅっと握り返した。

夏希
「ん」


「……ただいま」

夏希といるって幸せを噛み締めながらそう言った。

夏希
「……おかえり、翠」

それから私たちは、無言だった。

無言でも、居心地がよくて。

……好きだなぁって、実感できた。