「九条夏希くん、このクラス?」

……あ?

顔を上げれば、翠の幼なじみがいた。

はぁ……こっちは翠のことで忙しいのに。

立ち上がって廊下に出た俺。


「なんですか」


「翠と電話すら繋がらないんだ。いまどういう状況……っていっても、知るわけないか」

幼なじみにすら言ってねぇの?


「転校のこと、全部知ってるのは俺と俺の彼女と優奈さんだけだよ」

っ、こいつ知ってんの?


「頼む……翠の行方を教えてほしい」


「はぁ……俺から教えることはできない」