俺は急いで支度をして家を出てバイクを走らせた。

はやく、はやく翠の家に……っ。

家に着いてインターフォンを鳴らすとすぐ優奈さんが出てくれた。

優奈
「あら……夏希くん」


「朝早くからすみません!……翠の行方を教えてください」

優奈さんは眉を下げて、俺から目をそらした。

優奈
「ごめんなさいね……言わないでって言われてるのよ。けど、これだけは言わせて」

……?

静かに涙を流した優奈さん。

優奈
「あの子は……夏希くんが思う以上に夏希くんのことが好きよ。私はふたりに結ばれてほしい。ただ、あの子のことを考えると、もう族とは関わらせたくない……」