まさか、あの女になんかされたんじゃ……。


「あぁ、治ってるはずの傷がなんか痛く感じるだけ。フラッシュバック的な」

あはは、と苦しいはずなのに笑う翠。


「……傷って、どんななの?」

今まで、聞きたくても伏せてた。

一線を超えたら、嫌われる気がして。

きっと、俺らに伝えてくれたのはおおまかなことだと思うから。

さらに深堀したら、翠は逃げる気がして。


「……見ても、嫌になんない?」

……え?

顔を上げて翠を見ると、不安そうな顔してた。

今日ずっとそんな調子だよな。