月下美人

え、危機感無さすぎじゃん……。

そっと翠の頬に手を添えても反応なし。

にしても……初めて会った時からそうだけど。

めっちゃ可愛い……。

今すぐ俺のものにしたいけど、翠がいま恋をしたくないのも知ってる。

……でも、あの幼なじみだけには取られたくもないから。

俺は上体を倒して、翠の耳元に唇を寄せた。


「……好きだよ。俺らの前でいる翠も、がむしゃらに頑張る翠も、全部」

翠に布団をかけて、ベッドから降りリビングに向かう。

あの鈍感には呆れてくるよ……。

愛生
「あれっ、翠はー?」