無我夢中で走った。

竜の話なんか、聞きたくない……っ。

なんでこんな、被ってくんの……っ。

ーーぼふっ!

突然何かに包まれて、走るのをやめた私。

あ……。

見上げなくてもわかる、この香り。

……夏希だ。

夏希
「轢かれるよ」


「……なんでいるの?」

夏希
「俺の月下美人逃がすわけないじゃん」

っ……。

夏希
「本当の告白はできたっぽいし、涙が出るのはそれだけ本気だったってこと」