ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「んっ……」


震えるまぶたにそっとキスが落ちてきて、腕を引かれて。


「なぎ、さ……?」

「はぁ……」


膝の上でだっこするみたいにぎゅうっと抱きしめられた。


「はずかしい、から……っ、」


体が密着するこの体勢。


お互いの心臓の音も体温も、ぜんぶがダイレクトに伝わるから、ぜんぜん慣れない。


「知ってる。
優しく大切にしたいのに、めちゃめちゃかわいいからいじわるしたくなるんだよ」


「うっ、え?」


「ほんっと、俺の性欲エグってくるよな」


「せっ……!?」


なんて!?

聞きなれない言葉に、ますます体温が急上昇。


「で?そんなかわいー顔してなに隠してんの」


「べつに隠してなんか……っ」


「うそ。教えてくれるまで離さない」


「ひっ……ううっ、」


ずるい。


ゆっくり背中をなでられてるはずなのに、どこか焦らされてるみたいな。


「言いたくなった?」


っ、また。

ニヤッと笑いながら顔を近づけて。

そうすれば私が今まで通り、素直に言うと思ったら大まちがいだよ。


こんなにはずかしいこと、いくら渚でも言いたくない。

というか、言えない……!!


だから。

ふれられることに、少しは慣れた自分を、今見せるとき!!


「は、離さなくていいもん、」


グッと渚の胸を押して、ふつうに、ふつうに……。


「へえ?なら……」


「へ?」


「離さなくていいもんな?
俺に抱きしめられたままがいいもんな?」


「なに……っ、ひゃぁっ、」


「ふっ、」


なになになになに!?

今なにされた!?