「んんっ……」
これホントに寝てる?
起きてるとかないよな?
いつも冷静でいられる自分だけど、このときばかりはさすがに無理。
だめだ……。
かわいいが、すぎる……。
ふだんはずかしがり屋の彼女が無意識に、でも自ら擦り寄ってきてるんだと思うと、愛おしくてたまらなくて。
あー……。
ゆるみっぱなしの口元に手を当てて、もう一度彼女を見下ろす。
かわいい、かわいい……。
すっげえかわいい……。
彼女のぜんぶに好きがとまらない。
「な、起きて……俺に構って」
起こすつもりはない。
でも我慢できずにふわっとおでこに口づけて、覆い被さるように抱きしめる。
寝ているところを襲う趣味も……まあ、ない、うん。
この間深夜に勝手に部屋に入ったときはさすがに我慢がふりきれてて、やらかした自覚はちゃんとある。
だから、もう二度とむぎが嫌がることはぜったいにしたくない。
「んんっ、なぎ、さ……?」
なのに。
「おは、よう……」
こ、の、子、は……っ!!
「おはよう、むぎ」
「ふふっ、なぎさ……」
「っ!!」