胸が張り裂けそうなくらい、渚への気持ちがあふれてとまらない。


こんなに想ってくれて、大切にしてくれて。


すき。

好きだよ渚。大好き。


でも言葉にするのはまだちょっぴりはずかしいから。


「なぎ、さ……」


「ん?……っ!」


「私も、私がしたこと、ぜんぶ、覚えててほしい」


「不意うちは、反則だろ……」


渚の服を握ったまま、潤む視界の中、渚を見つめた。


唇は、やっぱりまだはずかしいから、ほっぺに。


そっとほっぺから手を離した瞬間、

みるみるうちに真っ赤になっていく渚に、思わず笑みがこぼれる。


「いつもドキドキさせられっぱなしだから、お返し」


「っ、あーもう、」


「渚?」


「ドキドキさせられっぱなしなのは俺のほうだっつーの。つか、ハグ求めるのははずかしがってんのに、キスはできるってどういうこと?もっとキスしたいって解釈していいの?あ、もうすればいいのか」


「ちょっ、お、落ちついて……っ」


早口だし、なんか変な方向にいっちゃってる!


「落ちついてるよ。誰かさんのギャップがくっそかわいいおかげで思考もぜんぶぶっとんでんの。ほんと、どれだけ俺を煽ったら済むの」


「べ、べつに煽ってるつもりは……」


というか、渚のは落ちついてるとは言わないのでは。


「だろうな。天然無自覚小悪魔……いや、天使ちゃんだもんな。あー、ほんとこれから毎日興奮しまくり」


「えっ?」


「学校ある日ならともかく、休みの日とか一日中一緒だろ?24時間興奮してる自信しかない、俺」


「こ……っ、」


興奮!?

照れた顔、聞きなれない言葉。


もう目の前にいるのは本当にあのクールな渚なの?

そう思っちゃうくらい、渚の知らなかった部分がいっぱい見えてくる。


「今日はもう特訓はおしまい。だけど最後に一つだけ、いい?」


「さっきから、最後って何回も言ってない?」


「いーから。これがほんとのほんとに最後、だから」


「わかった……」


「もう一回」


「え?」


「最後にもう一回。
今度はさっきよりももっと強く、抱きしめさせて」