ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「やっ、はずかし、」


だっこ、なんて。

子供のときに親にしてもらって以来されたことなんかないし、なにより。


「だってこっちの方が密着面積大きいし、ぴったりくっつけるから」

「っ〜〜」


ゆるりとほほえむ渚に、ドキドキがとまらない。

こんなの知らない。


渚の甘さが加速してる。


「ベッド、行こうか」


「っ、やっ、なんでベッド……っ」


「特訓するときは絶対にベッドな。
いくらでも横になれるし、声出していいし」


「でもこんな、っ……手、あたって、」


「当ててんの。
むぎのこと、もっともっと溶かしてあげたいから」


「っ、ばか……っ、」


「はい、無理。
ベッド行くよ」


「ひゃっ、ぅ……」


「あーもう、かわいすぎだって、まじで」


ちょっぴり余裕なさげな渚の顔。


ふれられているところがぜんぶ、やけどしたみたいに熱くて、渚の熱をぜんぶもらっているみたいな感覚。