ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



なんで最上階!?

最上階って、たしか52階だよね!?


そんなところにプレゼントがあるの!?


なんて思ってるうちに、いつの間にか最上階についたらしく、チンと開く。


そして出た先にあったのは、1枚のドアただそれだけ。


「むぎちゃん、渚」


「はい……」


「なんだよ」


「あたしたち4人から、婚約者になったふたりへプレゼントです!」


そう言って、汐さんがドアを開けた先には……。



「っ、は……はあぁぁぁーーーっ!?」



街全体を見渡せるほどのガラス張りの窓のその手前。


広すぎるお部屋のど真ん中に位置する6人がけのテーブルの上にあった、でかでかと書かれたメッセージ。


【婚約おめでとう!

ふたりにはこのスイートルームをプレゼント!

新婚気分を存分に味わってね】


「んだよこれ……最高すぎかよ。
母さん、サンキュ」


「でしょでしょでしょう!?
気に入ったでしょ、渚!!」


いやいやいやいや!

ちょっと待って!?


「早くふたりになろう、むぎ。
俺、イチャイチャしたくてたまんない」


「や、ちょっ……!」


なんでそんなに飲み込み早いの!?


もう嬉しすぎると言わんばかりに頬を緩ませて抱きついてこようとする渚を押しのけて、ダッシュで汐さんに駆け寄る。


「ここスイートルームですよね!?
しかもプレゼントって、一体どういうことですかっ!?」


スイートルームはたしか1泊30万。

もう、わけがわからない。



「うふふ!そのまんまよ!ここはふつうのスイートルームとは違ってふたり専用!ふたりがくっついたときにすぐにここで住めるようにずっと準備してて、新婚風にアレンジしてみたの!」


「新婚風っ!?」



あ、だから……。


ハート、ピンク、ハート、ピンク。


壁紙、ベッド、ソファー。


至るところにピンクのハートがあってめまいがしてくる。


しかもあげくの果てには……。