っ!?

バーン!!と勢いよくドアが開いて。


「久しぶり〜!!
しばらく見ないうちにまた可愛くなって!」


「し、汐さん!?」


目が合ってすぐ。


ぐ、ぐるじい……。


甘いバニラの香りに包まれた。



「こらこら、汐。
むぎちゃんが苦しそうだよ」


「渚のお父さんまで!?」


なんと、渚の家族とうちの家族が勢揃い。

いったいどういう状況これ……!?


「さっきあたしが2人に連絡したの。
そしたら超特急でこっちに来るからって」


ぐふふと笑うお母さんに、やれやれとため息が出る。

お母さんもお父さんも。

まだ8時過ぎだっていうのに。


というか渚のお母さんたちはお仕事で忙しいんだから、連絡しちゃ、だめじゃん……。


そう思ってたら。


「ッチ──、帰れ」


「なーに、その言い草は!
せっっっかく来てあげたっていうのに。この無愛想息子は」


「そうだぞ。
おまえの長い長い片思いにピリオドがついたって、お祝いに来てやったのに」


「頼んでない」


苦虫を噛み潰したみたいに顔をしかめる渚。


たぶん親の前だから照れくさいんだと思うけど、汐さんたちの前じゃいつもこんな感じ。


「ふーん?
そんなこと言っちゃっていいのかしら?
小さい頃は、むぎちゃんが他の男の子と仲良くする度に泣いて僕のだって言って……」


「ええっ!?」


そ、それは初耳……。


「むぎの前で余計なこと言うな」