ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「え……」

「かっこ悪いだろ、こんなの……」


顔、真っ赤……。


前に渚の照れた顔は見たことがある。

でもこんな、耳まで真っ赤になってる渚は、初めてで。


「俺の目、見て。
逸らさないで」


「っ〜!!」


あまりに強くて熱を孕んだ瞳で見てくるから、全身がぶわっと熱くなる。

同時に手にぎゅっと力を込められたら、観念するしかなくて。


「小学生……いや、幼稚園のときからずっと、いっつも心の中でむぎがかわいい、好きだって思ってた」


「っ!!」


「むぎと離れたくないのは俺も一緒だよ。というか、四六時中いっしょにいたい。だから、高校でも同じクラス、意地でも隣の席になりたかった」


「ええっ!?」


「まあ女子校選んだってことは、なにか理由があるんだろうなって思ってたけど、女子校行くなら、絶対に花柳に行ってほしいと思ってた」


「え?
ど、どうして、花柳……」


「すぐ隣に男子校あるし、俺がそこ通えばまたいっしょに登下校できると思って。女子校に隣接してる男子校って、ここらじゃ水篠しかないし」


「えっ、えっ?
ちょっとまって?渚は元々男子校に通うつもりだったの?」


「いや?
べつにむぎといっしょならどこでもいいなーって。でも男子校にして正解だった。いくら隣に女子校があるとはいえ、普段校内で女子に囲まれることないし、むぎのこと、不安にさせないし」


「っ……!!」


「あとは、そう。
やっぱ女子校ってだけあって、他のとことかは男が学校前で待ち伏せしてナンパしてるとかも聞いた。けど隣ならすぐに俺が迎えに行けるし、待ってられるから、そんな問題もない」



「……」