ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「……」



わからない。

いつもはわかる、渚の考えていることが、さっきからまったくわからない。


変にうめいたり、
ソワソワして落ちつきがなかったり。


一人でぶつぶつ言ってたり。


照れてるのか、私が困らせてるのか……。


「っ、あー……マジか。
俺が一番か……っ、やばい。
ほんとやばい。頭おかしくなりそう」


「っ!!」


その言葉に。


ドクンッと血液が逆流する感じがして、視界がぐらっと歪む。


やっぱり、困らせてた……。


つないでいない方の手で、前髪をぐしゃぐしゃっとして、うつむく渚。


「そう、だよね……こんな彼女、困る、よね」


軽蔑された。

引かれた。


困らせてる。

気持ちわるいよね。


「っ……」


泣くな泣くな泣くな。

これ以上渚を困らせるな。


なにか。

なにか言わなきゃ。


そう思って、なんとか震える唇を動かそうとしたとき。



「めちゃくちゃ困る。
かわいすぎて、というか、興奮しすぎて」