ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。

***


「そういうことか」



そしてすべてを話し終わった私は。


「こんな体質……困る、よね」


握った手に力をこめて、ぎゅっと唇を噛みしめた。

今さら渚が引くとか思ってない。


でも、手をつなぐだけ、ハグをするだけでも、

彼女がいちいち泣いたり、震えたりなんてしたら。


彼氏はどうしたらいいのか、困るんじゃないかって……。


「2つ……聞きたいんだけど、」


「うん……なに?」


「もしかして、女子校選んだのって、それが理由?」


じっと見つめてくる瞳に応えるように、見つめ返す。


さっきまではぼうっと見えていたその顔が、今はクリアに見える気がする。


悔しさなんか一切ない、ただ真剣な顔があるだけ。


「うん……中学の間は仕方なかったけど、男子が近くにいて、もしこの体質のことがバレたら怖いから」


お母さんたちにも相談して、だったら女子校に行った方が、一番安全だと思ったの。


「ほんとはね……」


「うん」


「渚と、いっしょの高校に行きたかった……」


でもこの体質がバレて、もし男子に目をつけられたら。

変な噂を流されたら。


それでもし、隣にいる渚まで変な目で見られることがあったら。

私はいいけど、渚に迷惑がかかるなんて、耐えられない……。


「俺と、離れたくなかった……?」


「うん……」


好きな人と同じ高校に行って、一緒に帰る。

ずっと、夢、だった。


「っ〜、あー……」


「渚?」