それからやってきた夏祭り。


「賑わってるね」

「ほんっと!
むぎ、どれから食べる?」


「そうだなぁ、じゃあさっそくタコ焼きから!」


「渚」

「なんだよ」


「オレ、今日夏祭り来たんじゃなくて、彼女を守るために来たような気がする」

「それは同感」


正直、目立っている。

それはもう、目立っている。


ただでさえ、メイクとか髪をセットなんてしていなくてもとてつもなくかわいい俺の彼女。


ふだん学校でも告白されまくってるのに、浴衣着ていつも以上に大人っぽい姿なんか、男どもの目にとまらないはずがない。


「渚、ぜったい目離すなよ」

「おまえもな」


「むぎ」

「なに?」

「俺の手、ぜったいに離したらだめだからな」

「うん。離さないよ。
ていうか、離れたくない」


……やばい、まじで今すぐ家帰りたくなってきた。