今度こそ、もう泣くかと思った。


そんなの。

それを言うなら俺のほうだよ。


むぎがいたから、今の自分がいて。

むぎが隣にいてくれたから、過去も今もずっと幸せなんだ。


「むぎ……俺も。
俺と、出会ってくれて、俺を好きになってくれて、ありがとう」

「っ……」


瞬間。

その目からぽろぽろ涙がこぼれ落ちて。

ううって……渚はずるい、なんて顔を真っ赤にさせて言うから。


「もしかして余裕ある感じ?
なら、もっと激しくする?」

「そ、それはやめて……っ」


もっとかわいい姿が見たいって、つい調子に乗ってしまう。


「むぎ」


「ん……?」


「むぎのぜんぶをくれてありがとう」


「私も、渚のぜんぶをくれてありがとう」


その言葉を最後に、むぎも俺もぎゅっとお互いを抱きしめ合った。