「あ、でも……」
「な、なに?」
もう、いくら無理だってやめてって言ったって、渚のかわいい攻撃はとまらない。
ふっと笑って私を見つめるその目も、はちみつみたいにとけそうで。
部屋中に流れる空気全体がとろりと甘ったるい。
「さっきむぎもがんばってくれるって言ってたし、そうだな……」
「あっ、えっと……それはっ、」
なんかこの流れはやばい気がする……!
クスッと笑って、また距離を詰めてこようとする渚の前に手を突き出すけれど、
「だめ。
俺といるときは絶対くっつく。
これ、約束しような」
「なっ!?」
「はい。
てことで、まずぎゅー……」
「え?
あたし今なに聞かされてんの?」
「ち、ちがうの!
この後に、じつは……」
そう。
私はすっかり忘れていた。
渚と両思いになれたことだけじゃなくて、婚約者同士になれたことが嬉しくて幸せで。
“ あの ”体質の恐ろしさを。
「むぎはいっぱい俺にキスされて抱きしめられて、愛されてくれるだけでいいよ」
「で、でも私も……」
「ん。
むぎからしてくれたら嬉しすぎて絶対萌え死にすると思うんだけど、俺、何年も拗らせてたから、いろいろやばいし」
萌え死に……って、なに?
一旦それは置いといて。
「やばいって、なにが……?」
「んー……まず、朝まで泣くくらい、俺のこと以外考えられなくなるまで甘やかすだろ」
「は……はっ!?」
え、なに……泣くってどういうこと!?
「で、かわいい声抑えられなくなるまで溶かして、休みの日も朝から晩まで一日中ベッドから出してあげられないかな」
「……」
「だからまずは俺の気持ちを受け止めるとこから、がんばろうな」



