ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。

***


それから学校まで行くと、たぶん他校なんだと思う。

同じバスケ部の人たちらしき人、何人かが学校の前にいた。


もう試合終わったみたい。

渚、そろそろ出てくるかな。

そう思っていつもの広場のとこにいたら。


「ねえねえキミ!」


ん?


「そう!そこの!
ツインテールの!」


え、私のこと?

常日頃から長い髪をツインテールにしている私。


今日は土曜日で学校はないから、もちろん広場にはだれもいない。

ってことは……。


「私……?」

「そうキミ!
もしかして花柳の子?
めちゃくちゃかわいいね!」


で、出た……。


にこにこ笑って、グッと顔を近づけてくるその人。


こういうチャラい人、ほんとに苦手。


朝日くんと同じダークブラウンの髪なのに、ぜんぜんちがって見えるのは、やっぱり中身の問題?


「えっ、なになに花柳の子!?
休みの日になにしてんの?
もしかして、だれか待ってる?」


わらわら集まってきた他校のバスケ部の人たち。

うわぁ、なんかみんなチャラそう……。


「えー、もしかして俺たちの追っかけ?
どいつがタイプ?もしかして俺?」


「ひっ……!」


ちかいっ……!

そして、腕を掴まれそうになったとき。


「だれの許可得て、この子に近づいてんの」

「渚……!」