ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「さっすが色男。黒のノースリーブがあんなに似合うやつ初めて見た」


それからコソコソ、3人で体育館にやってきたんだけど。


「脱いだらすごいのね、アイツ。
体育のジャージじゃわかんなかったけど、あんなに筋肉あったとは」

「俺あんなに筋肉ない……」

「そうね」

「那咲!」


体育館では1人、何度もシュートの練習をしている渚。

いつもの制服や、ジャージ姿とはちがう。

黒のノースリーブシャツに、下はよくバスケ部がはいてる、紺のバスパン。


「あれ。みんななにしてるの?」


「うわっ、朝……もがっ!」


「ばっか!声が大きい!!」


今度はうしろから羽交い締め。

那咲……ほんと、強すぎ。


「朝日くん」


「え……その声。もしかして、む……星見さん?」


渚に気づかれないようにコソッと話しかければ、朝日くんはこれでもかと目を見開いた。


「えっ、なんでうちの制服……はーん?
そういうこと」


「そういうことです」

「そういうことだ」


那咲と土方くん、3人でニヤニヤしている。

朝日くん、ほんとに変わったよね……。