「じゃあ、今から肝試し大会はじめまーす!
グループそれぞれにくじを配ったので、それでペアを決めてください!」
「まさかのくじ……」
「じゃあ誰と誰がいっしょになるかは引くまでわかんないやつか、これ……」
肝試し。
うちのグループはみんな楽しそうでワイワイしてるけど、
「お、オレ……」
「え、もしかして土方だめな感じ?」
「そっ、そんなことない!
オレ、那咲のこと、守るから!」
「いや、べつにあたしは大丈夫だけど……」
ぶるぶる震えながらも、引きつった笑いの土方くん。
土方くん……実は私も一緒なのです……。
ホラーとか、雷とかとにかくそういうのは全般だめで。
でも今そんなこと言ったら、ますます土方くんを怖がらせるだろうし、
「早くくじ引こ!
余興もよかったけど、こっちのほうがめちゃくちゃテンションあがる!」
「そうだね。俺もホラーとか結構好きだし」
「朝日くんは?
怖いのどう?」
「んー、別になんとも思わないかな」
「朝日くん、なにか出てきてもずっと無表情でいそう!」
みんなのこの楽しそうな雰囲気をぶち壊しそうで言えなくて。
さっきよりも雨が小雨になったとはいえ、これからのことにぶるりと体が震えた。
「むぎ、大丈夫?」
「那咲……」
「あたしはぜんぜん平気だからあれだけど、たしかむぎはこういうの苦手だったよね?」
「うん……」
小さいころ、渚たち家族とうちの家族で行った遊園地。
渚のお父さんと、うちのお父さんに連れられて、渚と4人でおばけやしきに入ったはいいけど、私だけはぐれちゃって。
真っ暗で、周りはなんかゾンビみたいなのがいっぱいで怖くて動けなくなってるときに、渚が、
「むぎ!」
息を切らせて、私を探して、見つけてくれたんだっけ。



