ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「余裕がなくなるくらい、好きでいてくれてるの、嬉しい……」


知らなかった渚の一面を知る度に、私もまた素直になれるんだよ。


「っ……、だから、」

「え?」


はあっと深いため息をついた渚の顔がゆっくり上がって。


「許嫁」


「え?」


「許嫁、じゃなくて。
俺の婚約者になってくれる?
てか、なって」


「え……えええっ!?」


しんみりとした空気から一点。

思わず目が点になってしまった。


「こっ、ここここ、婚約者!?」


「ん。だめ?」


確かにさっき、お母さんから許嫁だって聞いたけども!

確かに付き合い始めたけれども!


でもさすがにちょっと急すぎじゃ……。