ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



ザー……。


「はっ!?えっ!?」

「おいおいうそだろ!?」

「まじかよ!?」


あんなに晴れてこぼれんばかりの星が見えていた空が、気づけば厚い雲に覆われて。


「横殴りじゃん……」


ザーッとバケツをひっくり返したような雨に、あちこちで残念そうな声が上がる。


「これだったら、キャンプファイヤーどころか、余興もできないよね……」

「他のグループのとか、めちゃくちゃ楽しみにしてたのに」


香澄ちゃんと音ちゃんの残念そうな声が聞こえるけれど。

私は内心、少しホッとしていた。

もしまたあんな優しい目で渚に見つめられたら、今度こそ我慢できない。


いくら余興とはいえ、こんな状態で告白なんてされたら、心の中のいろんなものがぜんぶ壊れて、崩れ落ちそうで。


また泣きそうになってグッと唇を噛みしめた。


「みなさーん!楽しんでますかー!
生徒会でーすっ!」


「ぜんぜん楽しくねーよ」

「雨降るとか聞いてない……」


この中で唯一テンションが高い生徒会に、あちこちで非難の声が上がる。


「キャンプですからね!山ということもあり、急な天候の変化もあることでしょう!それもキャンプの醍醐味!ですが、私たちはこうなることも見越して、新たに他のイベントも用意してます!」


「新しいイベント?」

「なになに!?」


生徒会のふふんという自信満々な声に、今度は期待の声が上がる。


「元々余興の景品として考えていたのですが……」