ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「洗った野菜溜まってきたから、あたしあっち持ってってくるね」

「わかった」


にんじん、じゃがいも、トマトにキャベツ。

洗うものが多くて大変。


でも……。


渚の姿、今は見えないからちょっと気持ちが楽になる。

近くにいると、どうしてもその姿を探してしまうし、見てしまうから。


きっと渚をあんなふうにさせたのは自分だ。

理由は、自分でも気づいてる。


今まで渚にさえ、ふれることにめちゃくちゃ敏感になっていたくせに、克服できたとたんに、すぐに渚以外の男子に、自分からふれるなんて。


渚は、どんな気持ちで見ていたと思う?


外に出かけるときでさえ、怯えていたくせに。

渚に打ち明けるときでさえも、あんなに泣いて拒絶したくせに。


渚は私のためにってずっと特訓してくれて、軽く手をつなぐだけでも、毎回体調を気にしてくれて、大丈夫?って聞いてくれて。


なのに、私は。


だれよりも心配して考えてくれた渚に、私はなんて最低なことをしたと思う?


甘く見てた。

ここしばらく症状が出てなかったからって、遠慮もなしに、他の男子にふれて。


あのとき私を見ていた渚はきっと不安でたまらなかったはず。


もしまた万が一症状が出たらって。

もしまた私が泣いて苦しむことがあったらって。


人一倍優しい渚のことだから、ぜったいそう思ったはず。


私は渚を、これ以上にないくらい不安にさせて、傷つけた。