ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「那咲ー!
あれ見て!めっちゃ珍しい鳥いる〜!」


「ハイハイ、今行くよ〜」


遠くで土方くんがはしゃいでる。

きっと大好きな那咲といっしょに来れて、めちゃくちゃ嬉しいんだろうなぁ……。

那咲も、なにも言わないけど、なんだかとっても楽しそうだし。


そんなふたり、特に那咲に、私のことなんかでせっかくの行事、嫌な思い出で終わってほしくないから。


「私は、大丈夫だよ」


笑って、そう言うの。


「はぁ……」

「那咲?」


「むぎのそういうところ、優しいしいいと思うけど、もっとさ……」

「うん?」


「頼ってよ」


「っ……」


「1人で抱え込まないで。
あたしに相談して」


「ありがとう、那咲……」


優しく頭をなでてくれる那咲に、鼻の奥がツンとする。


つらい。

つらいよ、渚……。