ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「まだまだ言い足りないんだけど」


「も、もう十分です……」


「そう?俺的にはまだ不完全燃焼なんだけどな」


ほんっっとに無理です!

顔はあついし、心臓は別の意味でバクバクしてる。


真面目な話、死人が出ちゃうレベルだよ……。


「けど、不安なことあったら、いつどんなときでも言うって約束して。俺の見えないところでむぎが我慢するのやだから」


「うん……」


「俺はいつもむぎの一番でいたいし、だれよりもむぎのこと知ってたい」


嫉妬してくれてたなんて知らなかったし、今までいろいろ我慢してたのは、渚もだったんだ……。


不安もぜんぶ取り除いてくれて、こんなに愛を伝えてくれて。


私だって。


「私は渚の、だよ……」


そのシャツを握って、見つめてくるあたたかい色に応えたい。


「はー……んっとに、」


「渚?」


「むぎのことになると、いつも余裕なくなる」


うつむいて髪をぐしゃっとする。


さっきからコロコロ表情が変わる渚に、いちいちドキッとしてしまう。


幼なじみとしてそばにいたけど、こんなに表情豊かな渚は初めてだから。


笑うとこも、喜ぶ姿も。

照れる姿も。


私も渚のことを一番に知っていたいから。