ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



ガラガラッ。


「みゆみゆ、星見さん」


それからすぐ、保健室のドアが開く音がしてみれば、そこにはカバンを持った鳳くんがいた。


よかった……このままふたりだとなんか気まずかったし。


「みゆみゆの荷物、持ってきたよ」

「渚たちは?」


先生はもう、来るだろうか。

やけに遅いから心配だ……。


「先生ならもう来るよ。
久遠たちは教室に自分たちの荷物取りに行ってる。
ここは俺に任せて、星見さんも帰って大丈夫。
ありがとう」


「ううん、ぜんぜん平気。
朝日くん、お大事にね……」


とにかく早くここを出たい!

同級生に説教してしまった!なんてことしか頭になくて、とにかく猛烈にはずかしくて。


「あっ、むぎさん……」

「ん?」


「その……いろいろ、ありがとう」

「どういたしまして」


それだけ言って保健室を出る。


はぁ……疲れた。

そう思って、ふと横を見たとき。


「あれ、渚。
教室に行ったんじゃ……」


「……」


「渚?」


どうしたの?

そう聞こうとして。


グイッ!


「っ!?ちょっ、渚!?」


無言でうつむいたまま、私の手を引く渚。


「どうしたの、渚!
どこに行って……っ!」


それから半ば引きずられるように歩いて、トンっと背中を押されて入ったのは視聴覚室。


カーテンで締め切られたこの部屋はまだ夕方だというのに、薄暗くて。


「な、渚、どこ……」


「ここだよ」


「どこ……っ、んんっ!?」