彼女がもう二度と同じ悩みで苦しむことは、この先きっとない。
『本当にありがとう、渚。
ぜんぶ渚のおかげ。渚がいなかったら、私、変わることなんてできなかった』
むぎは本当に心から感謝してるって感じで俺に笑って言ってくれたけど。
「……」
それを心から素直に受け入れられない、喜べない自分に、またイライラする。
朝日の一言か。
もしくは今までの俺の言動でか。
克服できたのは、俺がずっと隣にいたからだっていう確信がもてないからって、こんな……。
彼女の体質を治すのも、一から十までぜんぶ自分がよかった、なんて。
心が狭すぎる。
大好きで、愛しくて。
これからもずっと大事に、大切にしていきたい彼女。
そんな彼女の幸せを願わなきゃいけないのに、
ぜんぶ俺がよかった、とか。
勝手に1人で嫉妬して、むしゃくしゃして。
あれからもう何日も経つのに、未だに引きずってるとか。
彼女より自分のことしか考えてない。
最低すぎる……。
プラス、むぎとの時間がとれてないことへの、暴走寸前の理性。
こんなぐちゃぐちゃな気持ちで彼女にふれたりなんかしたら、嫉妬と、自分を抑えられなくなって、どんなひどいことをしでかすか、わからない。
ふれたいけど、ふれられない。
身体的だった話が、今は完全に、物理的な距離と気持ちの問題になってる。