「……」


えーと、なにも言わないで、黙ったまま、だよね。


トントン。


ビクッ!!


「えっ!?」


今の……私がまだ出てたとき以上に、ビクってしてたような……。


「おれ、女の子と付き合ったことないから、急に肩とか叩かれるとビクッとするんだよ」


「う、うん?」


えーと、つまり?


「敏感なんて、みんなそうだよ。
初めての環境で体調が悪くなるのも、人の声とか音とかに反応するのも、みんな敏感」


だから……。


「体質なんて、みんなそれぞれだし、みんなちがって当たり前。だから、顔あげて、前向いてればいいんだよ」


そのときはじめて、朝日くんの笑った顔を見た気がした。


細められたブラウンの瞳も、やわらかい表情も。


まるで夜に沈んだ街に昇る、朝日みたいだった。