ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



私、体調わるい相手になんてこと……!



私が転びそうになった瞬間。


私の手をグッと引いて、なんとか転ばないようにしてくれたのは朝日くんで。


「大丈夫!?どこか痛いとことか、ケガとか……」


あ……そういえば。

うつむいたときに視界に入ったのは私の手を引く大きな手。

わ、私、手、ふれ……っ。


そう、思ったとき。


「ん……?」


なに、この感触……。

私の手にふれていた謎の感触。


これ……。


「タオ、ル……?」


朝日くんが手に持っていたはずのタオルは、なぜかその手に巻きつけられ、それで私の手を引いていた。


「なん、で、タオル……?」


「あー、最悪……」


「えっ!?」


ごめん。

そう言って、一瞬顔を歪めたあと、その手をそっと離した朝日くん。


「えっと、ごめんって……」


口を開けては閉じて、開けては閉じてを繰り返して。


「えっと……なにか、私に言いたいこと、ある……?」


どこか言いにくそうな、言い淀んでいるその雰囲気に、続きを促す。