ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「じゃあ、練習はじめまーす!」


「「「「……」」」」


「楽しみ〜!練習がんばろうね!」


「あー、女子と手つなげるとか夢みてえ」


きゃー!とか、うおー!とか。

体育館中にいろんな声が響き渡っているのに、私たちのグループだけシーンとしてる。


「お、オレたちも先生の話聞こうぜ!」

「う、うん」

「そう、だね」


なんとか土方くんが空気を明るくしようとがんばってくれてる。


「む、むぎ……」

「那咲……」


どういうこと?

那咲が目で訴えかけてくるけど、私が一番聞きたい!

てか朝日くん!

私名字教えたよね!?

せめてそっちで呼んでほしかった……。


こんなことで朝日くんに当たってもしょうがないけど、目立つの得意じゃないのに!


「とりあえず、まずは個人で覚えてもらいます!
そのあとにグループで男子女子それぞれペアに分かれてやってもらうので、ちゃんと聞いててくださいね!」


「……」


なんで私の隣にいるんだろう……。

なぜか渚と私に話しかけてきてから、私の右隣を無表情、無言のまま動かない朝日くん。


「……」


そして、私の左隣で、同じく無言のまま動かない渚。


朝日くんと、渚。


神様。

これからのキャンプ、いったいどうなるんでしょうか……。