「ふっ、えっ、なっ、なんで……っ」


おでこ、頬、こめかみ、耳、首すじ、鎖骨。

降りてきた唇がそっと、リボンを引っ張って。


「そういうの、俺が一から十までぜんぶ、むぎに教えたいから。いくら相手が女子とはいえ、ちょっと妬ける」


「なっ、なぎ、」


ぷつ、ぷつ。


ゆっくり、でもどこか余裕のない手つきで外されていくシャツのボタン。


「き、今日も、する、の……?」

「するよ。昨日以上に、たくさん」


昨日あんまり可愛がってあげれなかったから、今日はこっちも、さわるな?


「うっ、あっ……」


そっとなでられたのは、太もも。

ううっ、また、お腹、あつい……。


「わかんないことあったら、まずは俺に言うこと。いい?」

「っ、う、ん……っ」


私の返事にそれでいいというように目を細めた渚のまつげが伏せられて。


「ふっ、あ……っ」


息もできないほど、たくさんの甘いキスの雨と、

体にふれる熱くて優しい手。


「むぎの甘い声とか、熱い体とか。キスしてるときのむぎのぜんぶが好きだから、うまくとか、そんなの気にしなくていいよ」


「っ、で、でも、」


「でも、どうしてもキスがうまくなりたいって言うんなら……」


じわりと滲んだ視界の向こうで、ゆるりととけた黒が、甘く、どんなスイーツよりも甘く、ほほえんだ。


「俺といっぱいキスする。
それだけで俺はこれ以上にないほど幸せだから」