ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「なに目閉じてんの」

「っ、あっ、ぅ……」


「閉じちゃだめだよ。
今日はどこさわるか、今から言っとくから」

「っ、でも、」


「まずここ、背中ね。前に一回直接ふれたと思うけど、今日もするよ」


「ちょ、直接……?」


「うん。直接。リボン外して、シャツも脱ごうな?」


「ふっ、え……」


耳元で囁かれる声にびくっとしたら、「かわいい」なんて、とろりと熱が滴る目で見つめられる。


「あと、太ももと、ここ」

「ひあっ!?」


「ん、やっぱここ、弱いね」


ちょっとさわられただけなのに、目がチカチカする。


脇腹。


くすぐられて弱いのは、たぶん一番ここだと思う。

でも今のはくすぐったいとかそんなレベルじゃなくて……。


「気持ちいい」

「っ……」


「気持ちいいって言うんだよ、そういうの」


これ、が……?


きゅっと指が絡まって、「ほんとかわいい」なんて、頬に、耳に、こめかみに、顔中にキスが落ちてくる。


「キスもいっぱいするよ」

「んっ……」


「とまんなくなるから、今はこれだけ」

「なぎ、さっ……」


啄まれるような軽いキスが一つだけ。

でも、熱に濡れた瞳の奥が、


こんなんじゃ足りない。

もっとふれたい。

もっとほしいって、強く私に訴えかけてくるから。


今日は今まで以上に長い夜になるかもしれない、なんて。

私の頭の中はすぐに渚でいっぱいになる。


「むぎも、こんなんじゃ足りないだろ?」

「っ、ん……」


もう一度。軽くふれただけの甘いキス。

もう前みたいに、少しキスしただけじゃ、動じなくなった私の体。


「俺にふれられて、どんどん変わっていくのほんと興奮する……」


最後にぎゅっと引き寄せられて、渚のあごが私の肩にのって。

はぁ……って、熱い吐息が耳をかすめる。


「今日は帰ったら速攻ベッド行こ。
いい……?」

「うん……」


私も待ちきれない。

はやく渚に、ふれてほしい。

渚に、さわりたい。