ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



「それと言ってなかったけど、渚くん、あんたの許嫁だから」

「はあぁぁぁーーーっ!?」


「生まれたときから汐たちと決めてたの。
ふたりを結婚させたいねーって!」


ずっと夢だったのよね〜!

頬を赤く染めて、きゃー!って叫んでる。


聞けば渚のお父さんも、うちのお父さんもGOサインらしくて。


「なに、言ってんの……」


頭抱えるしか、ない。


「でも心配なかったじゃない。あんたは無事、渚くんにぞっこんだし。いつになっても素直にならない性格はちょっと甘く見てたけど」


「……」


ぞっこん。

そこにつっ込む気も失せるくらい、話についてけない。

応援してくれてるってことに喜んでいいのか、恋愛事情が筒抜けなのを悲しむべきか。


というか、気早すぎだよ……。


あくまでその話は、渚が私を好きでいてくれてることが前提でしょ?


私は渚が好きだから、もし将来そうなったら……なんて考えたこともある。


でも渚は?

私のこと、ただの幼なじみとしか思ってないんじゃないの……?


「はあぁぁぁ……ほんっとに鈍感ね、あんたは」


「また悪口……」


「渚くんのこと、好きなんでしょ?」