それからなんだかんだあったお姉さんとは別れて、野菜売り場に向かった私たち。
あ……やっぱり。
ふたりでこうして出かけて気づいたことがある。
「渚……?」
「ん?どうした?」
「な、なんでもない」
途中男の人とすれ違うタイミングで体がふれそうになるたびに、自然とそっち側を歩いてくれたり、そっと腕を引いてくれたり。
「渚……」
「うん?」
「ありがとう……」
「ん。なんならもっと甘えてくれていいけど」
「そ、それはもうちょっと経ってから」
「はいはい」
まだ渚と付き合う前。
1人で外を歩いていたときに感じる恐怖感は、渚が隣にいたときは感じなかった。
もしかしたら、私がなにも言わなくても、渚はなんとなく察して、私が歩きやすいように、
男の人と体がぶつからないようにしてくれてかもしれないって思ったら、胸の奥がぎゅっとなって。
「かわいい。
甘えたくなっちゃった?」
「……」
「むぎから来てくれるの待ってた。ぜんぶは無理だけど、小指だけな」
がんばったね。
ぽんぽんと頭を撫でてくれる手がそう言ってるみたい。
「次、あっち行こうか」
「うん……」
小指から伝わる熱に、胸が高鳴る。
ほんのつい数日前までただただ敏感に震えていた自分が、今は気持ちが落ちついてる。
渚がどれだけ私に気を使ってくれてたとか、私のこと見ててくれてたとか、そういうのがぜんぶわかったからかな。
体質が気にならないくらい、渚への気持ちがぐわっと込み上げてくる。
もうちょっと、手、つないでみようかな……。
そう思ってもう一度渚を呼ぼうとしたとき。
「あ……」
「なに?なんか見つけた?」
「あ、いや……」



