「……っ」


すると出てきた、美和のアカウント。

消した当時から、アイコンが変わっていなくて。見た事のあるその画像を目にしただけで、心臓がねじ切れるようだった。


心の痛みに耐えて、トーク画面に進む。

何度も何度も深呼吸して、心音を整える。


そうして意を決したわたしは、画面上に指をすべらせて、文字を打ちはじめた。


【永田温美です。
突然送ってごめんなさい】


短い文章。でも入力は、スムーズにはいかなかった。

手がふるえだして、何度も打ち間違えてしまう。胸の痛みは強さを増す。


……それでも。


【一度直接会って、話がしたいです】


「は……っ」


そう打ち終えた次の瞬間に、迷わないように送信ボタンを押した。


手のひらに食い込むくらい、スマホを握りしめる。体はブルブルとふるえている。


怖い。雨夜くんと会って、頑張ろうと決めた今でも。

わたしにとっては美和の存在が、トラウマの象徴そのものだから。でも。


――許すことは、自分を救うこと。


その言葉を思い浮かべ、スマホを置いて、ぎゅっと両手を組み合わせた。


進むんだ。逃げているのでは、こびりついている影はとれない。

目を背けているのでは、なにも変わらない。
向き合おう。踏み出そう。


……自分自身を、救うために。