運動することは、体にとっていいことだ。

健康でいるためには必須。でも不慣れで無理な運動は、ときにひどい痛みを引き起こす。


「う……」


体育館で走り回った、球技大会の翌朝。

わたしは小さくうめきながら、懸命に学校に向かって歩いていた。


まぎれもない筋肉痛だ。足を動かすたびに、筋繊維の一本一本が悲鳴を上げる。

図書室への階段は毎日のようにのぼっているけれど、昨日使った筋肉は、それとはまたべつの筋肉だったみたいだ。


けれど痛みもまた一興、なんて思えるのは、これが頑張りの勲章だから。

球技大会で矢崎さんたちとうまくやれたことを思い返すと、いまだに胸が熱くなる。


それから……胸を熱くする出来事は、もうひとつあって。


『今度の日曜……永田さんの一日、俺にくれませんか』


球技大会終わり。図書室で雨夜くんに、デートに誘ってもらってしまったのだ。