コゼットが寝台から離れた場所で、両手を前に揃えて話し始めた。

「私がエマ様に火急の知らせを持ってまいりました理由は、あの二人がフロタリア様に行った魔術の悪行についてです。 殺されたはずのフロタリア様が過去へと転生している事実を掴んだのです。 そして調べました所、貴方様の死が繰り返されるように呪いを掛けられている、と。 しかも死の記憶もそのまま残るようにされていたのです」

「私はごく普通に生きて来たわ。 貴方が言うような記憶なんて何も持っていないのよ」

「えぇ、もちろんそうでしょう。 私どもがフロタリア様の記憶をずっと消去してまいりましたから。 ただ、記憶は消せても身体の痛みを完全に消す事はできませんでした」

 私の記憶は消されていた。 だから目覚める度に身体が痛く、悪い夢を見たような不快な感覚だけが残っていたのだ。