「私とネヴィル様の……子供?」

 いったい何を言っているのだろう。
 エマ様は目の前にいて、こんなにも土気色になるくらいの危うさなのに。

「フロタリア様……私が転移者というのはもうご存知ですよね?」

「えぇ、なんとなく」

「では、フロタリア様の転生についてもお聞きのはず」

「えぇ……」

 不思議な気分だ。 自分が殺され、転生させられたなんて話をするのは。

 エマ様が横たわる寝台の回りは、やはりどこもかしこも白い。
 そして、立っているのか浮いているのかすらわからない平衡感覚が妙な気分に陥らせる。

「フロタリア様が……私のお母様が殺されたのは、私がまだ十歳の時でした。 ある日突然、お父様に言われたのです、お母様が死んだ……と。 それはもう深い悲しみで毎日悲嘆に明け暮れました。 そんな中でも、お父様は辛さや悲しみを隠しながら、お母様を求める私を愛して下さいました」

「それがネヴィル様ですのね」

「はい。 それからはお母様と過ごした邸でお父様と二人、長い月日を生きてまいりました。 そんなある日の事でした。 重大な知らせがコゼットより届いたのです」