「コゼットは何者なの?」

「魔術にも善と悪が存在します。 人を陥れる目的が悪なら、人を救う目的は善。 私は前者を審判に掛ける為に、そこへと導く手助けをする役目を担っています」

「つまり、コゼットも転移……転移者、という事?」

「同様に転移した他者の存在は魔術によって隠されてしまい、簡単には掴む事ができません。 私が二人の存在を掴めたのはこれから向かう方の力があったからです」

 そこがどういう建物なのか、外観も地理的状況も一切知らされなかった。 気付けば、周囲に何もなかったのだ。

「一言で言えば、転移者の為の療養施設といった所でしょうか」