こんなにも心地良い感情は初めてかもしれない。
 その光に包まれた瞬間の安らぎを例えるなら、まるで母の胸で眠る赤子のようだと言えるだろう。

「ねぇ、コゼット。 デュークとジャクリンはどこへ行ったの? あの人達はいったい……」

 コゼットと共に現れた男達は二人の両腕を掴むと、今の私と同じように光に包まれて消えていった。
 ただ違うのは、その瞬間の二人の悲鳴が、消えた後も残った事だ。
 それはとても痛みを伴う声で、思わず耳を塞がずにはいられないほど。

「審判者による使者です。 二人はこれから審判に掛けられるでしょう」

「私には、何が何だが……」

 二人に絞められた首の痛みは残ってはいるものの、後遺症になりそうな気はしない。
 それは今までもずっとそうだった。 どんなに妙な身体の違和感や痛みを感じても、不思議と平気でいられたのだ。

「フロタリア様にはこれから会って頂かなくてはならない方がいます。 今向かっているのはその為です」

「私も審判に掛けられるという事?」

「いいえ。 会って頂ければ、全てがわかるでしょう」