「こんな時に冗談言わないで!」

「フロタリアか?」

「この女がこの状態で喋れるわけないわよ!」

 すると、キラキラと光る白い結晶のような何かが私達の周りを囲んで行く。

 それは最初ふわふわと浮かびながら次第に数を増やし、いつしか大きな一つの、人の形へと変化する。

「まさか、そんな……」

「デューク、何よ。 何だって言うのよ!」

「審判者だ……」

 こんな時なのに、まるで図書室で読んだおとぎ話のような、主人公の危機を救いに来る救世主のような、そんな夢を見ている気がした。

 それは明らかに数体に分離し、顔の無い人形へと形を変える。
 職人が息を吹き込むような勢いで、ついには朦朧とする私の意識ですらわかるほどに確認できた。

「フロタリア様」

 全身を黒に包み、この世の人間とは思えない風貌で彼女の回りを囲む男達。

「コ、ゼッ……」