床に倒され、私より大きいデュークの重い身体が全身にのし掛かる圧は、どれだけ払い除けようとしても無駄な足掻きなのだと知らされる。

 そうだ、この重みを私は知っている。

 あの貴賓室で起きた事、感じた恐怖感、全てが私の脳裏にしっかりと焼き付くされていたのだ。
 池に突き落とされた時も、全身を刃物で刻まれた時も。

 こんな記憶、思い出したくなかった。
 残酷な絶望感を味わいながら死んで行くのなら、何も知らずに首を絞められたまま気を失っていたかった。

 だとしたら、デュークとジャクリンの方法は間違っていなかったわけだ。

「目を開けろ、フロタリア。 しっかりとその目で、ネヴィルではない奴に捧げて死んで行く様を見ながら逝け」

「貴方の愛するネヴィルとエマは今頃、同じ事をしているのではないかしらね?」