「何もわからないでしょ、フロタリア。 教えてあげてもいいわよ?」

「やめとけ。 教えたところでどうせ死ぬ。 意味ないだろ」

「あら、絶望を知って死んでいくのも一興でしょ」

「絶望を抱くのも有りか。 だとしたら、まずはフロタリアを地獄に落としてやるか」

 ジャクリンの手が首から離れていく。
 途端に私の身体は、壁を伝って床に沈み込む。

 苦しくて息を吸い込もうとしても、力を失った身体ではどうにもできない。

 二人は立ったまま、私を高みから見下ろしている。
 そして床の上に沈み込み、両手で身を守るように縮こまる私を嘲り笑う。

「私達はね、貴方が憎いの。 憎くてたまらない。 だから殺したのよ」