目が霞んでいく。 ジャクリンの顔が朧気に見える。
 掴まれた首に掛かる手をなんとかしたくて必死にもがいても、私の力では全く相手にならない。

 どうしてジャクリンはこんなにも憎しみの瞳で私を睨むのだろうか。
いったい私が何をしたと言うのだろうか。

「おいおい、殺すなよ。 俺の楽しみを奪わないでくれないか?」

 いつの間にいたのか、扉を背に立つのはデューク。
 腕組みをして、おもしろそうに眺めている。
 彼はこんな風に斜め上から他人を見下ろす人ではなかったはずなのに。

「こんな女を抱きたがる趣味がわからないわ」

「俺がずっとそれだけを待ち望んでいた事、知らないジャクリンではないはずだぜ」

 あぁ、そうだ。 思い出した。
 夢の中の、私を地獄に突き落とした声。
 あの二人だ。