本来なら家庭教師だけでじゅうぶんなのだとお父様には言われた。 どうしても学校に行きたければ花嫁学校に行け、とも。
 それでも私はやはり、ネヴィル様と同じ学校に行きたくて我が儘を通した。

 そこはトリスタノルン王国内でも唯一の共学校として古い歴史を持つ。

 そもそもネヴィル様がその学校を選んだのは、男子ばかりの窮屈さに飽き飽きしていたからだという。
 共学校なら、学舎や寮は別だとしても食堂やラウンジは自由。
 そんな空間で各地から来た良家の子女達との勉学や娯楽は楽しいと、時々届く便りには書いてあった。

 私は最初、ネヴィル様から話を聞いた時、不安しか感じなかった。
 使用人を連れて行けないから身の回りの事は全て自分でしなければならない。 侍女がいない寮でどうやって生活するのかを想像すると、そこに行きたいとはとても思えなかったのだ。