どうして?

 身体中が痛い。
 私の心が奪われる。
 こぼれるのは私の涙なのか、汗なのか。

 また意識が遠くなっていく。
 どこからか聞いた事のある声がする。

 しっかりと目を見開いていなくては、そう 思いながら人物を確かめると……。
 ネヴィル様の噂話をしていた上級生の殿方達。
 その奥のソファーに座っているのは、よく知る顔の男女。

「そんな……」

 二人は楽しそうに囁き合っている。

「貴方、ずっと気に食わなかったのよね」

 女が男の肩に凭れながら言う。

 私はこんな風に憎まれていたの?

 傷つくのがわかっているからこそ笑う、その楽しそうな顔。